デカール貼りに必要な用具、基本的な貼り方
「デカール」とは、水につけると台紙とマーク部分が分離し、薄い膜のようなマーク部分だけを貼り付けることができるシールです。「スライドマーク」とも言います。
このデカール貼り、破れたり、曲面でシワになったり、シワになったりと、プラモデルを作る際の一つの関門かもしれません・・。
でも、ちょっとしたコツを掴めば、たいがいはキレイに貼る事が出来ます!ここでは、デカールを貼るのに必要な道具や、基本的な貼り方、軟化方法などを紹介してみたいと思います。
デカールを貼るのに必要な道具
個人的にデカールを貼るのに使っているのは、大体下記のような道具です。
上段は左から、デカール軟化剤の「Mr.マークソフター」、軟化剤+デカール糊の「Mr.マークセッター」、デカール用糊の「デカールフィクサー」、フィルム生成材の「リキッドデカールフィルム」。
他は水を入れておく小皿、デカールを切り取る為のハサミやデザインナイフ、デカールを貼る為のピンセット、水分を押し出す筆や綿棒、ティッシュなど。
デカール軟化剤
「マークソフター(緑のキャップの方)」と「マークセッター(青いキャップの方)」の違いですが、マークソフターはデカールを柔らかくする軟化剤で、マークセッターはデカーの接着剤成分+弱めのデカール軟化剤が入ってます。
「Mr.マークソフター」はデカールを軟化させる力が強いので、デカールによっては軟化しすぎてシワになったり破れたりして、使えなくなる場合もあります。
特にタミヤのデカールに使うと、あっという間に軟化しすぎて使い物にならなくなってしまう可能性が高いのでタミヤのデカールの場合はマークセッターを使った方が無難だと思います。
反対に、マークソフターを塗っても全然軟化しないデカールもあったりするので、とりあえず、不要な部分のデカールに試しに塗って、様子をみてから使うのが確実です。
デカール用糊
「デカールフィクサー」は軟化成分が全く入ってない、完全なデカール用の糊(接着剤)です。古くなったデカールや、薄くてマークセッターでも軟化しすぎてしまうようなデカールの接着補強に便利です。
デカールフィクサーは個人的にはあまり使ってなく、使用頻度は低いですけど、たまに使うのであると便利です。木工用ボンドを薄めた物でも代用できるみたいですけど、とりあえず持っておいて損はないと思います。
リキッドデカールフィルム
マイクロスケール社の「リキッドデカールフィルム」は、デカール保護膜剤のような物です。リキッドデカールフィルムをデカールを水につける前に塗っておくと、デカールの余白みたいな、透明な薄い膜が出来て破れにくくなります。
使い方としては、デカールの上から筆で塗るだけでOK。乾燥が非常に早いので、大きめのデカールは幅広の筆で素早く、1度塗りで仕上げるのがポイント。一気に全面に塗るのではなく、デカール1つ1つに塗っていくとキレイに仕上げやすいです。
薄くて破れやすいデカールや、古いデカールの破れ防止に非常に効果的で、曲面へも馴染ませやすくなります。個人的にはタミヤのデカールにはほぼ毎回塗ってます。
筆、綿棒、ピンセット
筆と綿棒はデカールを貼った後、水分を押し出すのに使います。筆はコシの強いタイプが使いやすいです。綿棒は普通のタイプと、あまり使う事はないですが、先が尖ってる三角タイプもたまに使ってます。
ピンセットは、先端が平らになってるタイプがデカールを傷つけにくく、扱いやすいです。写真は左がタミヤの「デカールピンセット」、右はタミヤの「精密ピンセット 先丸タイプ」。
特にタミヤの「デカールピンセット」は、デカール貼り専用なだけあって非常に貼りやすいです。
デカールの基本的な貼り方
それでは、実際にデカールを貼ってみましょう!
デカールは、使う部分のマークだけをハサミやカッターで切り取って使います。薄くて脆そうなデカールの場合、最初に「リキッドデカールフィルム」を塗っておくと比較的安心して貼れます。
デカールを切り取ったら、台紙ごと水につけます(写真左)。
数秒から十秒くらい水に付けたら、容器の縁に移してさらに数十秒~数分そのままにしておきましょう(写真右)。ずっと水に浸けておくと糊が流れてしまうので、しばらく付けたら縁に移動させておきます。
デカールを触ってみて、台紙からスムーズに動かないようなら、スムーズに動くようになるまでそのままにしておきましょう。焦って動かすとデカールが破けてしまうので要注意!
台紙からマークが動くようになったら、台紙ごと貼りたい位置まで持って行き、台紙からマークを滑らせるように貼っていきましょう。
個人的にはデカールを貼る部分に、マークセッターを塗ってから貼る事が多いです。
必ずしも塗る必要は無いですけど、多少デカールを軟化させてくれるので、特に半艶やつや消し塗装の場合は塗っておいた方がシルバリングの防止や、デカールの剥がれ防止になりやすいので、基本的には塗ってから貼ってます。
デカールを貼ったら指やピンセット等で動かして、最終的な位置を決めていきます。
指で動かすとデカールが指にくっついてきたりするので、大きめのデカール以外はピンセットや綿棒を使って位置決めすることが多いです。スムーズに動く状態だと、ピンセットを使ってもデカールにキズが付くことはないので、大丈夫です。
デカールを動かしにくい場合は、デカールと塗装面の間に水を含ませてやと簡単に動かせるようになりますよ。
位置が決まったら、筆や綿棒で中心から端に向かって水分を押し出し、デカールを密着させていきましょう。個人的には大きめのデカールは筆、小さめは綿棒を使う事が多いです。また、強めに押さえて凹凸にしっかり密着させたい場合なども綿棒を使ってます。
筆の水分はこまめに布やティッシュで拭き取り、何度か水を押し出して、水分が大方抜けたらOKです。多少水分が残ってても乾けばキレイに密着するので問題ないです。
綿棒を使う場合は軽く湿らせて(乾いていると特にデカールが小さい場合、綿棒にデカールがくっついてくる事があります)、回転させながら残った水分を押し出していきます。
平行に擦るように動かすとデカールが破けたり、伸びたりシワになったりする場合があるので、必ず回転させながら作業しましょう!
これで終了です!この後、クリアーをかけて研ぎ出し等する場合は、少なくとも丸一日は乾燥させておいた方が安全です。
小さなデカールの場合
小さなデカールの場合は、ピンセットでデカールを台紙から全部剥がして貼った方が、貼りすいと思います。マークセッターやソフターを塗る場合は、デカール裏面に直接塗る事が多いです。
デカールを軟化させる方法
デカールを貼っていると、凹凸に馴染ませる為に軟化させてやる必要が出てきます。デカールを軟化させるには蒸しタオルやドライヤー等で熱を加えるか、軟化剤を使ってやると良いです。
一番手軽で使用頻度が高いかなと思うのが、デカール軟化剤を使う方法。 ただ、軟化剤はデカールによっては軟化成分が強すぎて、デカールを溶かしてダメにしてしまう場合もあるのがちょっと怖いんですよね。 個人的に使ってるのはクレオスの「マークソフター」ですが、軟化成分としてはそこまで強い部類でもないと思んですけど、タミヤのデカールに使うとほぼダメにしてしまいますね。。 リキッドデカールフィルムを塗っておくとある程度使えますけど、念のため最初にいらない部分のデカールで試してみた方が安全だと思います。 蒸しタオルは軟化剤のようにデカールを溶かしてダメにしてしまう可能性がほぼ無いので、安全に馴染ませることが出来るのがメリット。 ただし、曲面へ馴染ませる場合でデカールにシワがある状態で使うと、シワがそのまま残ってしまう恐れがあるので、単純な曲面や凹凸部、大判デカール等デカールの位置が決まり、あとはただ馴染ませるだけといった場合での使用に向いてると思います。 水で濡らしたタオルを絞り、電子レンジで「手に持ったときに火傷しない程度」の比較的高めの温度に加熱して蒸しタオルを作ります。 デカールの位置を決めたら、蒸しタオルをしばらく(十数秒程度)デカールに当てて軟化させ、密着させていきます。必要であれば、綿棒を回転させながら密着させたり、軟化剤と組み合わせて密着させていきましょう。 ドライヤーで熱を加えてもデカールを軟化さることが出来ます。 曲面で馴染ませる時や、半艶・艶消しの塗装面にデカールを貼る場合、デカールが弱く軟化剤を使うのが怖いとき等、結構使ってます。 蒸しタオルを準備するのは面倒ですけど、ドライヤーだと簡単ですしね。 ただし、ドライヤーは使い方がまずいとプラスチックを変形させたり、デカールや塗装面にトラブルが出てくる場合があるので、ちょっと注意しておいた方がいいです。 写真左は、デカールを貼って1時間程して、隣に貼ったデカールをドライヤーで加熱したら、泡だったように凹凸が出来てしまいました。 中途半端に乾いて水分がなくなってるとこうなるのか、よく分からないですけど、貼ってすぐのデカールは問題無いので、貼ってから時間がたったデカールにはドライヤーを当てない方が無難かも。 写真右の矢印部分は、デカールを貼った際に周りに付いていた水分がドライヤーで熱されて、水垢みたいに塗料が変色してしまいました・・。水滴は拭き取ってからドライヤーを当てましょう!デカール軟化剤で軟化せる
蒸しタオルでデカールを軟化せる
ドライヤーでデカールを軟化せる
- 必要な用具、デカールの貼り方・基本編
- ケース別デカールの貼り方(曲面、凹凸など)
- デカール貼りの疑問・トラブル9例を写真で解説!