プラモデル用塗料(ラッカー系・水性アクリル・エナメル)の特徴
プラモデル用の塗料にはいくつか種類があり、それぞれに良い面もあればイマイチな点もあります。
のページでは、プラモデル用塗料の種類やメーカー、種類や特徴、各種塗料の重ね塗りの可否などをまとめてみました。
1.プラモデル用塗料の種類と特徴
プラモデル用塗料には、があります。1つづつ見ていきましょう
ラッカー系塗料
まずはラッカー塗料です。GSIクレオスより発売されている、「Mr.カラー」が一般的に模型制作に使用されているラッカー塗料になると思います。
乾燥が速くて乾燥後の塗膜も強い、発色も良くて値段も手頃という、スグレモノ。プラモデルの通常塗装用としては一番向いていると思います。基本エアブラシでの塗装に向いてますが、筆塗りも出来ます。ただ、乾燥が早いので筆塗りの場合はリターダーを添加して乾燥を遅らせた方がキレイに塗りやすいと思います。
乾燥後の塗膜が硬いので、手で触っても指紋が付いたりする事はありません。カーモデルやバイクモデルなどの艶有り塗装は、このラッカー塗料で塗装するのがベストです。
ただ、欠点もあってとにかくシンナー臭が強烈で臭いです。閉め切った部屋で使うと、頭痛くなってきたりします。換気には十分気をつけておかないと危険です!
ラッカー系塗料を薄める場合は、専用の溶剤(うすめ液)を使用します。筆やハンドピースを洗う場合も水では洗えないので、同じくラッカー溶剤を使用します。
筆やその他器具を洗う場合やエアーブラシの洗浄には写真のMr.ツールクリーナーの方がいいかもしれません。
これは洗浄専用の溶剤で、固まってしまった塗料でも簡単・強力に溶かしてくれます。
私の場合は、塗料の種類にかかわらず、筆は全部このMr.ツールクリーナーで洗ってます。
これも強力なのはいいのですが、ラッカー系塗料以上に、非常に強烈な刺激臭があります。
水性アクリル塗料
水性アクリル塗料はタミヤとGSIクレオスの2社から発売されています。
1つはタミヤから発売されている「タミヤ アクリル塗料」です。右は専用溶剤。「X-」の表示は艶有あり、「XF-」の表示はつや消し塗料を示してます。
アクリル塗料はシンナー臭も少なく、筆も水洗いできて気楽に使えるのがいいです。艶消し塗料はラッカー系よりも強い、完全な艶消し状態になります。筆は水洗いする事が出来ますが、塗料が乾くと水では落ちないので、その場合は溶剤を使って塗料を落とします。
塗料を薄める場合は専用の溶剤で薄める必要があります。水性ではありますけど、水で薄めると使えなくなるので要注意です!
欠点としては、まず金属色の発色が良くないです。全然ダメ。乾燥時間はラッカー塗料に比べて遅く、乾燥後の塗膜もそこまで強くはなく、筆塗りだと多少筆ムラが出やすいです。筆で厚く塗ったりすると乾燥に結構時間がかかってしまいまい、乾燥後も塗膜にキズが付きやすい傾向があります。
なので、カーモデルやバイクモデルのボディやカウルなど、研ぎ出しして鏡面仕上げにするような使い方には向いてないです。つや消しであればあまり問題にならないので、AFVや航空機等はアクリルメインで塗装しても良いかも。
もう1つは下記、GSIクレオスより発売されている「水性ホビーカラー」。
こちらもタミヤのアクリル塗料と大体同じような物です。
水性ホビーカラーは筆を水で洗うことはもちろん、塗料を水で薄める事もできます。ただし、仕上がりを優先するなら専用の溶剤で薄めたほうが良いみたい。臭いも殆どないので絵の具と同じような感覚でとても気軽に使えます。
エナメル塗料
日本で入手できるエナメル塗料は、タミヤとガイアノーツから発売されてます。
写真はタミヤのアクリル塗料。「X-」の表示は艶有あり、「XF-」の表示はつや消し塗料を示しています。塗料を薄める際は、専用の溶剤を使います。
エナメル塗料の一番の特徴は塗料の伸びがよく、筆塗り塗装で筆ムラが出にくい事と発色の良さ。金属色の発色も良く、筆塗りでもある程度キレイに塗装出来ます。塗料の伸びが良いので、スミ入れやウォッシングといったウェザリング塗装にも向いてます。
ただ、やはりエナメル塗料にも欠点はあるんです・・
乾燥時間は3種類の中でもっとも遅く、乾燥後の塗膜は弱く、柔らかいです。完全に乾燥した後でも、特に艶有り塗装の場合は指で触ったりすると指紋が付く事もあります。
また、エナメル系塗料の溶剤はプラスチックに浸透しやすく、プラスチックを脆くする性質があります。なのでスミ入れやウォッシングなどの際、薄めたものを塗りまくると部品が割れてしまうこともあるので要注意です。
基本的には細かい部品など、完成後にあまり手を触れない部分に使った方がいいと思います。
2.塗料の重ね塗り・相関表
ラッカー、エナメル、アクリルの各塗料は重ね塗りできる順番があります。
例えば、ラッカー系塗料に含まれている溶剤は、ラッカー塗料を含む水性アクリル、エナメル塗料の全てを溶かしてしまいますが、エナメル系、水性アクリルの溶剤でラッカー塗料が溶けることはありません。
この溶剤の強弱によって、重ね塗りできるパターンが決まってくるんですが、それをまとめたのが下記表です。基本的に筆塗りの場合の組み合わせで、エアブラシだともうちょっと融通が利きます。
ラッカー | 水性アクリル | エナメル | |
ラッカー | △ | ○ | ○ |
水性アクリル | × | △ | △ |
エナメル | × | ○ | △ |
○・・・重ね塗り出来る
△・・・重ね塗り出来るが、手早くく塗らないと下地を溶かしてしまう。エアブラシ塗装を推奨。
×・・・下地の塗料を侵してしまう為、重ね塗りは出来ない
一番確実なのは、最初にラッカー系塗料で塗装して、エナメル系塗料で上塗りするパターンです。この組合せだと、例えば塗装に失敗した場合でも、エナメル塗料だけを溶剤でふき取ることが出来ます。
また、細かい部分などはあえてエナメル塗料をはみ出した状態で塗装して、後から溶剤でふき取る、という方法も使えます。スミ入れやウォッシングも下地にラッカー系を塗装し、上塗りのエナメルを拭き取ってます。
ラッカー系塗料の上に水性アクリル塗料を塗る場合は、普通に塗り重ねる分には問題無いんですけど、アクリル系塗料を拭き取ると若干下地のラッカー塗料の艶が落ちるんですよね。なのでアクリル溶剤は若干ラッカー塗料を溶かしてると思います。
逆に、エナメル塗料やアクリル塗料の上には、絶対にラッカー塗料を塗装出来ないかといえば、これがそうでもないんです。筆塗りだと下地の塗料が溶けて汚くなる可能性高いですけど、エアブラシで薄く乾かしながら吹き重ねていけばけっこう下地を溶かすこと無く塗装できたりします。
ただ、エアブラシ塗装の場合でもがっつり吹き付けるとまずいです。下地のエナメルが溶けるし、乾燥後下地のエナメルにヒビが入る場合もあります。
左の写真はエナメル塗料の上からラッカークリアーを普通に吹き付けてあるんですけど、、クリアー乾燥後にエナメル塗料がヒビ割れてきてしまいました。クリアーが乾燥してもしばらくは、ヒビはなかったのですがある程度時間が経ってからヒビが入ってました。
水性アクリルやエナメル塗料の上からラッカー系クリアーを吹き付ける場合等は、軽く砂吹き気味にして塗膜をコートする程度にしておくのが無難だと思います。
基本的な重ねぬリの順序は、「ラッカー」 → 「水性アクリル & エナメル」 の順で行うのが安全です。