サーフェイサーの効果・役割
サーフェイサーとは、ラッカーパテを薄めたような物(溶きパテを普通の塗料並みに薄めた感じ)です。スプレータイプとビン入りタイプ、目の粗さや色など、色々と種類があります。
サーフェイサーはヒケや段差、小キズ等を消して均一な色、質感の統一された下地を作るために使いますけど、全てのパーツに必ず塗らなければいけないという物でもないです。
1.サーフェイサーの効果
サーフェイサーの効果には、等があります。
a.キズを見つけやすくする
グレー色のサーフェイサーを吹くと、それまで見えなかったような小キズや凹み、パーティングラインなどが見つけやすくなります。
写真はポリパテで飛行機の窓部分を埋め、ペーパー掛けした後にグレーサフを吹いたた状態。サフを吹くと、窓の周辺など細かな凹みやキズが良く見えるようになりました。
特にパーツ色がホワイトの場合、パーティングラインや細かなキズがが見にくいですけど、グレー色のサフを吹くとパーツの状態がハッキリ見えるようになります。
これはサーフェイサーの効果と言うより明るいグレー色による効果なんですけど、同じサーフェイサーでも「ホワイトサーフェイサー」を吹いた場合は全く見やすくならないです。
b.キズや小さなヒケ等を消す
サーフェイサーはパテを薄めたような塗料なので、細かな傷を消す効果があります。個人的には、これがサーフェイサーの一番大きな役割で、メリットだと思います。
ただ、キズを消せると言うことはそれだけ塗膜が厚くなり、モールドが甘くなるという事でもあるので、あまり厚くならないように気を付けておくと良いです。
クレオスのサフには数字(番手)が書かれていて、数字が小さいほど目が粗く大きなキズを消すことが出来ますが、逆に表面のがさつきは大きくなります。
どの番手のサフだとどの程度のキズが消えるのか、左の写真のようにプラ板の右半分を400~1000番のペーパーで磨いてから各種サーフェイサーを吹き付け、どの程度のキズまで消すことが出来るか試してみました。
下の写真は上からサフの目の粗い順に、クレオス「溶きパテ500」、タミヤ「スーパーサーフェイサー」、クレオスMr.サーフェイサー「1000」、「1200」、「1500」、タミヤ「ファインサーフェイサー」、そして通常塗料のグレー(35 明灰白色)と艶ありブラック(2 ブラック)も試してみてます。
全てのサフ、塗料はエアブラシで2回吹き付けた状態のもので、タミヤの缶スプレーサフは、一度空き瓶に中身を出してからエアブラシで2回吹き付けてます。
3回以上吹いたり、塗料を濃い目にしたりすればキズは消えやすくなるので、参考程度に見ていただければと思います。
ペーパーの番手は左から、400、600、800、1000番の順で、一番下の艶ありブラックだけは、左から1000、1200、1500、2000番のペーパーキズで試してます。
●サーフェイサーのキズの消え具合
400番のペーパーキズを処理出来てるのは、一番上のクレオス「溶きパテ500」のみ。ただし表面もかなりがさついてるので、溶きパテという名の通り、大きな傷やヒケ埋め専用に使うのが良さそうです。
600番のペーパーキズは、タミヤ「スーパーサーフェイサー」は完全に消えてますが、クレオスのMr.サーフェイサー「1000」、「1200」、「1500」は角度によっては微妙にキズが見える感じ。タミヤの「ファインサフ」はまだ少しキズが見えます。
800番、1000番のペーパーキズは全てのサーフェイサーで処理出来てます。クレオスのMr.サーフェイサー「1000」、「1200」、「1500」はキズの消え方、触った感じの滑らかさなどが似たような感じで、正直あまり違いがよく分かりません。。
下地処理のペーパーがけは、サフを吹く場合は800番で仕上げておけばOKだと思います。
●タミヤのサーフェイサーの番手は?
タミヤの「スーパーサーフェイサー」は、溶きパテ500よりは目が細かく、クレオスの「Mr.サーフェイサー 1000」よりは目が粗いので、800番程度な感じがしてます。
「ファインサーフェイサー」の方は、クレオスの「Mr.サーフェイサー 1500」と同じような感じなので1500番程度か、もしかしたらさらに目が細かいかもしれません。
通常のグレー塗料よりはキズが消えてますけど、けっこう目が細かい感じがします。
タミヤのファインサフは800番のキズでも、吹きつけが薄かったり、所々深く入ったキズ等は残る場合があるので、特にシルバー塗装などで下地を完璧に仕上げる必要がある場合は、ちょっと注意しておいた方が良いかも。
●通常塗料のキズの消え具合
下2列は通常の塗料ですが、つや消しのグレー塗装(35 明灰白色)は1000番のペーパーキズも、角度によっては微妙に残ってます。写真にはないですが、1200番だと完全に消えてます。
つや消し塗料の場合は少なくとも1000番、余裕を持って1200番で仕上げておけば、問題なさそうです。
艶ありブラックは、1200番までのペーパーキズは消え切れてませんが、1500番はほぼ処理出来てます。2000番は全く問題無いです。艶あり塗装で仕上げる場合は、1500番以上のペーパーで仕上げておくと良いんじゃないでしょうか。
c.塗料の食いつきを良くする
効果をハッキリ実感出来るというわけではないですが、サーフェイサーは通常の塗料よりプラスチックへの食いつきが良い気がします。
通常のラッカー系塗料の食いつき悪いというわけでも無いですけど、サフなしで塗装すると塗料が剥がれるケースが何度かあったんですよね。
ただし、シルバー等のメタリック色を塗装するときは、必ずサーフェイサーか、もしくはブラック等の通常色を下地に塗装した方が良いです。
シルバーは塗料の食いつきが悪く、プラスチックにいきなりシルバーを塗装するとちょっとしたことで塗料が剥がれる可能性大です。写真はサフなしでシルバー吹き付けて、マスキング剥がすときに一緒に塗装が剥がれちゃいました。
特にマスキングテープを上から貼ったりすると、テープを剥がすときに一緒にシルバーも剥がれてしまう可能性が高いですから注意しておきましょう。
d.色を均一に揃える
パテ埋めした部分や、エッチングパーツ等を取り付けた場合、色や質感がちぐはぐになってしまってます。
そのままの状態で塗装すると、隠蔽力の弱い明るい色などは塗料を重ねてもキレイに発色してくれません。
そこで、サーフェイサーで全体の色や質感を均一に整えておくと、上から塗装する色をキレイに発色させることが出来ます。
e.光を遮る
サーフェイサーは隠蔽力が高いので、光を遮る効果があります。
写真左はキットそのままの状態ですが、光が通過してパーツが透けてしまってます。光が抜けてパーツが透けてしまうと、どうしてもおもちゃっぽく見えてしまうんです。
光が抜けないだけでグッと高級感が出てくるので、しっかり光を遮断しておきたいところ。特にパーツ成形色が白や赤、黄色等の場合は透けやすいので、注意しておきましょう。
これも光を遮る効果だけなら、隠蔽力の高い通常塗料でも代用可です。
2.サーフェイサーは必ず塗らないとダメ?
これはケースバイケースで、必ずしも塗る必要は無いです。
個人的にサーフェイサーを吹くのは、主にカーモデルのボディやバイクモデルのカウルなど、研ぎ出しして鏡面に仕上げるパーツです。
鏡面に仕上げる場合はパーツの小キズやパーティングライン、凹みや合わせ目を確実に消して面を平らにし、光を遮断して、色を均一に整えておく必要があるので、サーフェイサーは必須だと思います。
下地の段階でキレイな面が出来ていなければ、絶対にそれ以上の仕上がりにはなりませんからね。。
でも、そこまでキレイに下地を整える必要が無い部品は、基本的にサフは吹いてません。
合わせ目を消したパーツや、少し荒目のペーパーで磨いたパーツ等は、ペーパーキズを消したり、ちゃんとキズが消えてるかチェックする為に、軽くサフを吹く事はありますけどね。
サフを吹くと多少なりとも塗膜が厚く、面は梨地になるので、使わずに済むなら使わない方がキレイな塗装面が得られるので、ケースバイケースで対応していくのが良いと思います。
3.ホワイトサーフェイサーとベースホワイトの違いは?
クレオスから「ベースホワイト1000」という塗料が発売されていますが、これは隠蔽力の高い白塗料で、上に塗る塗料の発色を良くする為に使います。
サーフェイサーは基本的にパテを薄めた物で、キズを埋めたりパーツ表面を滑らかにするために使いますけど、ベースホワイトにはそういった効果はなく、あくまでも隠蔽力の高い白い塗料です。
・・白塗料でサフでは無いんですけど、どうも通常の塗料よりもゴワつく感じというか塗膜が厚めで、通常塗料より小傷が消えやすい感じもします。
レッドやイエローなど、明るく鮮やかな色は下地がブラックやグレーだとキレイに発色してくれないので、そういった場合はベースホワイトで一度白い塗膜を作ってあげると、キレイに発色してくれます。
今はクレオスから隠蔽力の高い「GX1 クールホワイト」が発売されているので、個人的にはベースホワイトはもう使ってないです。
4.サーフェイサーを金属の上に塗る場合
サーフェイサーをエッチングや真鍮など、金属の上に塗る場合は、金属への塗料の食いつきを高めてくれる「メタルプライマー」を塗っておきましょう!
タミヤのサフにはプライマー成分も入っているみたいですが、殆ど効果を感じられず、エッチングの上に直接塗るとポロポロ剥がれてしまいます。
クレオスのサフにはプライマー成分は入ってないので、基本的に金属の上に塗る場合はプライマーを塗っておくと、塗装剥がれのトラブルが少なくなります。
サーフェイサーだけでなく、通常の塗料を金属の上に塗装する場合も、メタルプライマーを塗っておくと塗料がだいぶ剥がれにくくなります。
メタルプライマーを塗った場合と塗らなかった場合では、塗料の食いつきが明らかに違うので、手抜きせずに塗っておく事をオススメします。